今日買った本

いったい月に何冊本を買っているのか、計測します

　大和古印と聞いては、珍品堂はもうたまらない。太政官印とか正倉院文書なんかに捺した古印には、一寸五分四方ぐらいのものがありますが、文字が奈良建築の軒の曲線を思わせる美しい線を持っています。古建築は個人では手に負えないが、古印の線を見ていると古建築を偲ぶことができるんです。筆路暢達、まことに心行くばかりの限りです。今ではもう実体を見ることはできないが、備後国印とか筑紫国印とか、古文書に捺した国印の国印は、写真版や凸版印刷で見ても思わず惚れ惚れとさせられます。
　翌日、珍品堂はモンペに防空頭巾といういでたちで、ありったけの金を持って横浜の宇多川のところに行きました。

□「偲ぶことができるんです。」なんてかわいい文章！！　珍品堂が、偽者を本物と言って売りつけてぼろ儲けしても、お店の女中さんに手を出してしまっても、同じく井伏鱒二が日本に広めたドリトル先生くらい愛らしいです。表紙も劣らずかわいい。中公文庫版です。

パイドパイパー 4 (4)
浅田寅ヲ